Atomic Layer Deposition (ALD)
ALDは、基板表面に前駆体分子を供給して飽和させ、余剰分をパージしたうえで別の反応剤を供給する、という工程を1サイクルとして繰り返す気相成膜法である。アルゴンヌ国立研究所の解説では、気体の前駆体と基板のあいだで交互に起こる飽和反応を利用し、層ごとに膜を積み上げる手法と説明されている。
各ステップの反応が表面で飽和して自己停止するため、1サイクルあたりの成長量が供給量の揺らぎに左右されにくい。膜厚はサイクル数で決まり、原子層レベルの精度で単原子層からマイクロメートル級までつくり分けられる。物理気相成長や通常のCVDが直進性、すなわち視線の通る面に依存するのに対し、ALDは複雑な三次元形状に対しても精密で等方的な被覆を形成できる。一方、1サイクルに要する時間が長いため、成膜速度の低さがスループット上の制約になる。
微細化した半導体デバイスのゲート絶縁膜や配線バリア膜で実用化が進んだ。アルゴンヌ国立研究所では、太陽電池、触媒、光検出器、蓄電デバイス、分離膜、固体酸化物セル、照明、エアロゲル、水素関連、保護コーティング、化学センサーといった領域で研究が行われている。装置と前駆体の双方が事業領域として成立しており、材料メーカーと装置メーカーのいずれにも参入機会がある。