Phage therapy
Med J Aust 誌に掲載された総説「Phage therapy for severe bacterial infections: a narrative review」(2019年)によれば、バクテリオファージ(ファージ)療法は、始まってから1世紀を経て再び現れつつある治療法である。同総説は、抗菌薬耐性の病原体に対して活性を示すことと、重篤な副作用が認められていないことが、難治性の細菌感染症における治療選択肢としてファージ療法を魅力的なものにしていると述べている。
同総説によれば、ファージは標的とする細菌に対して高い特異性をもつが、試験管内での活性と生体内での有効性の関係については、なお厳密な評価が必要とされる。ファージ療法の薬物動態・薬力学の原理は、捕食者と被食者の古典的な関係に基づいて説明されるのが一般的だが、ファージの体内からの消失には他にも多くの要因が関与しており、最適な投与設計は明らかになっていないとされる。
また同総説は、性状が十分に解析され、溶菌性に限定されたファージを組み合わせ、GMP(医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)のもとで調製した製剤の入手可能性が限られている点を課題として挙げている。安全性は示されてきたものの、有効性を評価するにはランダム化比較試験が必要だと結論づけている。
抗菌薬耐性(AMR)の広がりを背景に、ファージ療法はヒト医療だけでなく動物・農業分野でも検討が進んでいる。標的とする細菌ごとに適切なファージを選ぶ必要があるため、環境から分離したファージの探索と、菌株に対する適合の判定が実務上の中心的な工程になる。