Bioenergy with Carbon Dioxide Capture and Storage (BECCS)
IPCC第6次評価報告書第3作業部会は、BECCSを「バイオエネルギー施設に適用されたCO2回収・貯留(CCS)技術」と定義している。バイオマスは生育の過程で大気中のCO2を取り込むため、その燃焼・発酵によって生じたCO2を回収して地中に貯留すれば、正味で大気中のCO2が減る。
構成要素は既存技術の組み合わせである。バイオマス発電所、製紙工場、バイオエタノール工場などの排ガスからCO2を回収し、輸送して地層に圧入する。発酵由来のCO2は濃度が高く分離が容易なため、回収コストは燃焼排ガスより低い。一方で除去量の正当性はバイオマス側の条件に依存する。栽培・収穫・輸送に伴う排出、土地利用変化、原料調達の持続可能性を含めて評価しないと、実際の除去量は帳簿上の値を下回る。バイオマス供給量の制約も規模の上限を決める要因となり、原料の調達可能量が事業規模を先に決める構造にある。
IPCCの多くの緩和経路がBECCSを前提としており、CDRの中では技術成熟度が比較的高い部類に入る。事業としては、CO2貯留サイトの確保、原料の長期調達契約、除去クレジットの認証方法論の三つがそろって初めて成立条件を満たす。回収設備そのものより、上流の原料と下流の貯留の押さえ方が競争力を決める。