Calcineurin Inhibitor (CNI)
カルシニューリンは2つのサブユニットからなる脱リン酸化酵素で、カルシウム依存的なシグナル伝達を含む多くの細胞内過程に関与し、T細胞の活性化にも働く。カルシニューリン阻害薬はこの酵素の活性を抑えることで免疫抑制作用を示す薬剤群であり、自己免疫疾患の管理と臓器移植後の拒絶反応の予防に用いられる。
既存のカルシニューリン阻害薬は、シクロフィリンやFK結合タンパク質といったイムノフィリンにまず結合し、生じた複合体がカルシニューリンを競合的に阻害する。阻害により転写因子NFATの核内移行が妨げられ、インターロイキン2などのサイトカイン遺伝子の転写開始が減少する。その結果、Tリンパ球の活性化、増殖、分化が抑えられる。代表的な有害事象は腎毒性で、血漿クレアチニン値の急性の上昇として現れる。
移植医療における標準的な免疫抑制療法を支える薬剤クラスである一方、腎毒性が長期の臓器生着率を制約する要因とされる。イムノフィリンを介さずに標的へ直接結合する新しい骨格の探索は、この制約を回避する狙いを持つ創薬の方向性である。
また、カルシニューリンは免疫系以外の細胞内過程にも関与するため、阻害の選択性をどう確保するかが設計上の論点になる。