回折光学素子

Diffractive Optical Element (DOE)

素子表面に形成した微細な周期構造による回折を利用して開口面内の位相分布を制御し、レーザビームの整形や多点分岐、強度の均一化を行う光学素子である。屈折レンズだけでは難しい強度分布を薄い平板で実現でき、レーザ加工や計測、露光装置の照明系などに組み込まれる。

詳細

概要

回折光学素子(DOE)は、素子表面に形成した微細構造によって光を回折させ、所望の波面を作り出す光学部品である。メーカーの技術解説では、DOEは「エネルギー効率の高い方法でレーザビームを整形・分岐する」素子であり、「周期的な微細構造」を用いて損失を抑えつつ光を精密に導くと説明されている。

技術的な要点

通常のレンズが媒質の屈折率と曲面形状で波面を変えるのに対し、DOEは開口面内の位相分布を微細構造の高さや周期で直接設計する。これにより、複雑な強度プロファイルの生成、1本のビームの多点分岐、平坦な強度分布への均一化(ホモジナイズ)といった、屈折光学だけでは困難な機能を薄い平板で実現できる。屈折光学素子と組み合わせて色収差補正などに使うこともできる。用途としては、溶接・切断・スクライブ・はんだ付け・穴あけといったレーザ材料加工でのビーム整形と分岐、レーザ治療や診断機器などの医療技術、距離測定・位置検出・動作検知といった計測とセンシング、マスク投影露光系におけるビーム均一化、光通信における分岐や波長選択が挙げられる。

産業での位置づけ

半導体露光、レーザ加工機、三次元センシング用の点パターン投光など、量産装置の光学系に組み込まれている。射出成形による樹脂製の量産品から高精度な石英基板品まで幅があり、要求される波面精度と回折効率に応じて製法が選ばれる。メタサーフェスなど平面光学素子と並び、光学系の小型化・機能集積を担う技術である。