Digital Micromirror Device (DMD)
デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)は、独立に傾きを制御できる微小ミラーを二次元格子状に集積したMEMSデバイスである。入射光を画素単位で特定方向へ反射するか否かを高速に切り替えることで、光を空間的に変調する。メーカーの技術資料では、プログラマブルな光変調素子として「精密な画素制御」を提供すると説明されている。
動作の本質は、光の強度をアナログ的に減衰させるのではなく、ミラーの向きを二値的に切り替え、時間平均として階調や強度分布を作る点にある。素子は可視光に限らず幅広い波長で使え、産業用途向けには343 nmから2,500 nmまで、紫外から近赤外に及ぶ高強度光の変調に対応する製品がある。主な応用として、プログラマブルフォトマスクとして機能させるデジタルリソグラフィ、実時間で奥行きと形状情報を取得する構造化照明による三次元マシンビジョン、層全体を一括露光する光造形方式の付加製造、スイッチや可変減衰器などの光ネットワーク部品、プリズムや回折格子で分散させた光から特定波長のみを単一素子検出器へ導く分光がある。
投影表示から出発した技術だが、現在は産業計測・製造・分析装置の光学系部品として広く使われている。取得すべき情報に応じて照明や検出の空間パターンを動的に変えられるため、計算イメージングや、AIが観測条件を制御する適応的センシングの構成要素としても注目されている。