動的送電容量

Dynamic Line Rating (DLR)

送電線の熱的定格を、実際の環境条件や電線の状態に基づいて動的に決める技術と手法の総称である。米エネルギー省の2019年6月の議会報告書は、より良質で粒度の細かい実時間データを用いて電線の熱的定格をより動的に決める多様な技術と方法論を指す包括的な用語と説明する。従来の静的定格は保守的な気象条件を前提に算出されるため、風による冷却などの好条件を活かせない硬直した制約になる。技術は気象条件を測る方式と電線自体を測る方式に大別される。

詳細

定義

動的送電容量(Dynamic Line Rating、DLR)は、送電線の電流容量を実際の条件に応じて動的に決める運用と、それを支える技術群の総称である。米エネルギー省が2019年6月に議会へ提出した報告書は、DLRを、改善された、より粒度の細かい、あるいは実時間のデータを用いて電線の熱的定格をより動的に決めるための多様な技術と方法論を指す包括的な用語と説明している。

静的定格との違い

同報告書によれば、送電線を流せる電力の上限は、電線の早期劣化を防ぐ温度と、線下の離隔を保つためのたるみの制限によって決まる。従来の静的定格(Static Line Rating、SLR)は、静的な気象条件や平均風速といった保守的な仮定に基づいて計算されるため、環境条件が有利に変化しても送電量を増やせない硬直した制約となる。DLRは原理的には静的定格と同じ熱平衡の式を用いるが、そこに実際の条件を反映させる点が異なる。

方式

報告書は、DLRの技術が伝統的に気象ベースと資産ベースに二分されてきたとしている。気象ベースの方式は電線周囲の環境条件の計測に、資産ベースの方式は電線そのものの温度、位置やたるみ、張力、線電流の計測に重点を置く。いずれも最終的に許容できる最大の導体電流を求めるために用いられる。

位置づけ

報告書は、送電系統の混雑が相当の費用を生んでおり、設備の増強や建て替えに比べて短期かつ低費用で混雑を緩和しうる技術としてDLRを位置づけている。付随する利点として、送電系統の状況把握の向上と、送電線の状態基準保全の可能性を挙げている。