Embodied Carbon
学術文献では、建築物のライフサイクルにおいて、製造と建設(アップフロント)、部材の維持と更新(リカレント)、解体と廃棄物処理(エンドオブライフ)で生じる温室効果ガス排出量の総和と定義されている。運用時のエネルギー消費に由来するオペレーショナルカーボンと対をなす概念である。
評価は原材料採取・輸送・製造の製品段階(A1〜A3)、現場への輸送と施工、使用段階の維持更新、解体・廃棄物処理と資源回収の各段階を対象とする。算定方法の枠組みは欧州規格EN 15978が与え、ライフサイクルアセスメントとして一貫したシステム境界を設定する。省エネ性能の高い新築建築物では、エンボディドカーボンがライフサイクル全体の炭素排出の50%超を占めうるとされる。また、上流のアップフロント排出が総エンボディドカーボンの60%超を占め、残余カーボンバジェットを即時に消費する点が指摘されている。
運用段階の脱炭素が進むほど相対的な重要度が高まる指標であり、材料の配合設計、部材形状の最適化、輸送距離の短縮が削減の主な手段となる。
算定には材料ごとの排出原単位が必要で、環境製品宣言などの一次データの整備状況が結果の信頼性を左右する。