Energy Harvesting
IEEE は、エネルギーハーベスティングを、周囲の環境にある少量のエネルギーを取り込み、電子機器やシステムが使える電力へ変換する過程と説明している。利用する源として、光、機械的振動、熱勾配、高周波(RF)放射、流体の流れが挙げられ、電池の交換や有線給電が現実的でない場所の機器に電力を供給する用途が想定されている。
変換の方式として IEEE は次を挙げる。光起電力方式では太陽電池が光子を電流へ変換し、屋内ではアモルファスシリコンが、直射日光下では単結晶セルが良い性能を示す。圧電・振動方式では PZT や PVDF といった材料の機械的変形が電荷を生み、ハーベスタの共振周波数が周囲の振動周波数と一致するときに特に効果が高い。ナノスケールの方式では、酸化亜鉛のナノワイヤや摩擦帯電ナノ発電機がミリメートル規模で身体の動きや気流から実用的な電圧を生む。取り出した電力は最大電力点追従回路を経て、スーパーキャパシタや薄膜電池に蓄えられてから使われる。得られる電力はマイクロワットからミリワットの範囲であり、低デューティ比のセンシングと無線通信には足りるが、大電力の負荷には足りないとされる。
適用先として、無線センサネットワーク、ウェアラブルの健康センサ、インフラに埋め込む IoT エッジノード、農業のモニタリング、電池交換に外科的処置を要する植込み型医療機器、電池廃棄物を減らす製品設計が挙げられている。いずれも、機器そのものより電池の交換・保守のほうが費用と手間を占める用途である。マイクロワット級という出力の制約は、機器側の消費電力を下げる設計と、電力管理・蓄電の回路設計が一体で必要になることを意味する。