Enhanced Rock Weathering (ERW)
IPCCは風化促進を「ケイ酸塩岩・炭酸塩岩を用いて大気中CO2の自然な除去速度を高める手法」と説明している。岩石の風化は地質学的な時間スケールで大気中CO2を吸収してきた過程であり、岩石を細かく砕いて反応表面積を増やすことでこれを加速する。
Beerlingらが2020年にNature誌で報告した研究は、玄武岩を農地に散布する方式(ERW)を評価している。散布された岩石が溶解する際にCO2が重炭酸イオンとして固定され、最終的に海洋へ運ばれて長期間保持される。同研究は世界全体で年間0.5〜20億トンCO2規模の除去が達成可能とし、対象国として中国、インド、米国、ブラジルを挙げている。コストはCO2 1トンあたり約80〜180米ドルと見積もられ、土壌改良による食料・土壌の安定や海洋酸性化の緩和といった副次的効果も指摘されている。
採石・粉砕・輸送・散布という既存の産業インフラを流用できる点が強みだが、除去量が土壌条件と時間に依存するため、測定と検証の方法論が事業性を左右する。土壌サンプリングと地球化学モデルを組み合わせたMRVが技術的な争点である。