ハイエントロピー合金

High-Entropy Alloy (HEA)

5種類以上の元素をほぼ等原子比で含む多元系合金。配置のエントロピーが大きく、高温で固溶体相が安定化する。2004年にCantorらとYehらが提唱した。強度や耐熱性、耐食性のほか、ナノ粒子化による触媒や電極材料、生体材料への応用が調べられている。

詳細

概要

ハイエントロピー合金は、5種類以上の元素をほぼ等しい原子比で含む多元系合金を指す。日本化学会の会誌「化学と工業」の解説では、各元素のモル分率がおおむね0.05から0.35の範囲にある組成が対象とされている。

技術的な要点

配置のエントロピーは S_config = R ln N で表され、5元系の等モル合金では 1.61R となる。一般には S_config が 1.5R 以上のものをハイエントロピー合金とみなす。この高エントロピー効果により、高温域で固溶体相が安定化する。もう一つの特徴はカクテル効果で、構成元素それぞれの性質が単純に足し合わされるのではなく、相互作用を通じて予期しない特性として現れる。近年は金属に限らずセラミックスなど、さまざまな組み合わせの系へと概念が拡張されている。

産業での位置づけ

概念は2004年に Cantor らと Yeh らによって提唱された。2018年以降はナノ粒子としてのハイエントロピー合金が研究対象になり、触媒への応用が進んだ。応用先として挙げられているのは、触媒、電極、生体材料、熱電材料であり、機械的性質としては強度、耐熱性、耐食性が期待される。元素の組み合わせが膨大になるため、探索の効率が実用化の鍵を握る領域である。