Impedance Control
ロボットが環境と力学的に相互作用する場面では、位置や速度、力といったベクトル量を単独で制御するだけでは不十分である。Neville Hoganは1985年の論文で、マニピュレータが外部からの変位に対してどのような反力を返すか、すなわち機械インピーダンスそのものを制御対象とする枠組みを示した。
エンドエフェクタを慣性・粘性・剛性からなる二次系として振る舞わせ、目標軌道からの偏差に応じた力を生成する。ロボット側をインピーダンス、環境側をアドミタンスとして対で記述する点が特徴で、望ましい軌道の指令と、接触時に呈する動特性の指定を分離して扱える。剛性と粘性のパラメータを作業に応じて設定することで、自由空間での軌道追従と接触時の柔らかい応答を同じ制御則の中で連続的に切り替えられる。実現にはトルクを直接指令できる駆動系が前提となり、達成できるインピーダンスの範囲はアクチュエータの性能に制約される。
嵌合や研磨、部品の組付けなど、接触力の制御が加工品質と歩留まりを左右する工程で使われる。人と物理的に接する協働ロボットや支援機器、脚型ロボットの接地制御も同じ理論的枠組みで扱われる。制御則とハードウェアの力制御性能が不可分であるため、この領域の技術を評価するときは制御ソフトと駆動系を分けずに見る必要がある。