Ionic Liquid (IL)
IUPACゴールドブックはイオン液体を「等量の正負のイオンだけ、あるいはほぼそれだけで構成される液体」と定義している(出典は Glossary of terms used in physical organic chemistry, IUPAC Recommendations 2021)。実際に扱われるものは一価の陽イオンと一価の陰イオンからなる場合が多く、室温で液体のものは室温イオン液体(RTIL)と呼ばれる。
東京農工大学の大野・中村研究室の解説では、イオン液体は室温付近で液体状態にある有機塩であり、融点がおよそ100℃以下であることが目安とされている。従来の有機溶媒と比べて蒸気圧がほとんどなく、熱安定性に優れる点が特徴として挙げられている。イオンだけで構成されるためイオン伝導性を示し、陽イオンと陰イオンの組み合わせを設計することで物性を調整できる。
同研究室が挙げる応用は、セルロースなど生体高分子を溶かす溶媒、酵素反応やバイオマス変換の反応場、電気化学デバイスの電解質、分離・精製プロセス、各種合成の反応媒体である。組み合わせの数が非常に多く、目的に合わせて設計できる一方、粘度やコスト、毒性評価が用途ごとの実装判断を左右する。