Lithium-sulfur battery (Li-S)
硫黄を正極活物質、リチウム金属を負極に用いる二次電池。リチウムイオン電池の挿入・脱離反応とは異なり、S と Li2S のあいだの変換反応で充放電する。硫黄の理論比エネルギーは2600Wh/kgとされ、実用目標としてセルレベル500Wh/kgが挙げられている。
2025年のNature Communications掲載のベンチマーク解析によれば、実セルでの記録値は441Wh/kgで、リチウム化したMoS2をホストに用い、硫黄担持量7.5mg/cm2、電解液/硫黄比2.4µL/mgの条件で得られている。主な課題は四つに整理されている。第一に、多硫化物が電解液に溶けることで硫黄の損失と自己放電、シャトル効果が起きる。第二に、S と Li2S の変換に伴う体積変化が構造上の問題を生む。第三に、硫黄とLi2Sの電子伝導性が低く性能を制限する。第四に、リチウム負極でSEIが不安定になりデンドライトが生成する。同解析では、3Cでの劣化が0.1Cでのサイクルに比べて2倍速く進み、現状のリチウム硫黄電池は安定した高頻度・高出力のサイクルを要する用途には適さないとされる。
重量あたりのエネルギーが効く用途が先行する。評価の際は、硫黄担持量と電解液/硫黄比が明示されているかを確認する必要がある。これらの条件を緩めれば単セルのWh/kgは容易に大きく見えるため、条件の開示がない数値は他社と比較できない。