船舶用ハイブリッド電気推進

Hybrid Electric Power System (Marine)

内燃機関で駆動する発電機や主機で駆動する軸発電機・電動機と、蓄電池などのエネルギー貯蔵システムを組み合わせて船舶の発電・推進系を構成する方式である。米国船級協会(ABS)の2024年4月の要求事項はこう定義し、エネルギー貯蔵システムには蓄電池、スーパーキャパシタ、燃料電池などが含まれるとする。同要求事項は全電気式動力系を、エネルギー貯蔵システムやエネルギー変換装置、太陽光や風力などの非在来型電源の組み合わせで構成し、内燃機関は非常用電源としてのみ用いるものと定義し、これで運航できる船舶を全電気推進船としている。

詳細

定義

米国船級協会(ABS)が2024年4月に発行した要求事項「Requirements for Hybrid and All-Electric Power Systems for Marine and Offshore Applications」は、ハイブリッド電気動力系を、内燃機関で駆動される発電機および/または主機で駆動される軸発電機・電動機と、蓄電池、スーパーキャパシタ、燃料電池などで構成されるエネルギー貯蔵システム(ESS)とを組み合わせて、船舶の発電および推進の系を成すものと定義している。エネルギー貯蔵システムそのものは、エネルギーを貯蔵・変換する装置、必要に応じた変換器、制御装置、付帯する構成機器からなる系と定義される。

全電気式との区別

同要求事項は全電気式動力系を、エネルギー貯蔵システムやエネルギー変換装置、さらに太陽光や風力といった非在来型の電源を単独または組み合わせて構成する動力系と定義し、内燃機関は非常用の電源としてのみ用いてよいとしている。そして全電気式動力系で運航できる手段を備えた船舶を全電気推進船(all-electric vessel)としている。ハイブリッドと全電気式の境界は、内燃機関が常用の動力源に含まれるか否かで引かれている。

位置づけ

蓄電池を常用の動力源に組み込むと、機関の負荷変動の吸収、停泊中の無排出運転、回生の利用などが可能になる一方、電池の安全性や充放電の管理が船級の要求事項として問われる。船級協会が用語と要求を定めているのは、この安全要件を設計段階で担保するためである。