大規模MIMO

Massive MIMO

多数のアンテナ素子を用い、端末ごとに指向性の高いビームを形成して同じ資源を空間的に多重する方式。ITU-R 報告 M.2516-0 は、ビーム間干渉を極めて低く抑えた多重化を実現する多元接続の手法として強い可能性を持つ一方、RF チェーンのコストと実装の複雑さが課題だと述べている。

詳細

概要

大規模MIMO(Massive MIMO)は、多数のアンテナ素子を用いて端末ごとに指向性の高いビームを形成し、同じ時間・周波数資源を空間的に多重する方式である。ITU-R 報告 M.2516-0「Future technology trends of terrestrial International Mobile Telecommunications systems towards 2030 and beyond」(2022年11月)は、多元接続の手法として大規模MIMO が強い可能性を持つと位置づけている。

技術的な要点

同報告は、大規模MIMO が端末ごとに非常に指向性の高いビームを提供でき、ビーム間干渉を極めて低く抑えた多重化を可能にすると記している。同時に制約も明示されている。RF チェーンに伴うコストと実装の複雑さが挙げられ、ホログラフィックアンテナやレンズアンテナアレイといった近年の進展によって理論上はこれらの課題を克服しうる、という書き方をしている。また万能な方式ではないとも述べており、アンテナ素子数の多さが不利に働く例として IoT 用途を挙げる。周波数が高くなるほど素子数の要求は増し、100GHz 付近で動作させる場合はミリ波帯に展開されるアレイと比べて一桁多い素子が必要になりうるとされ、設計上の課題になると指摘されている。

産業での位置づけ

素子数の増加は、RF チェーンの数、ビームフォーミング演算量、消費電力、放熱の問題に直結する。したがって競争の軸は無線方式そのものよりも、アンテナ実装、RF 半導体、デジタル信号処理の効率に移りやすい。IMT-2030 に向けて利用周波数が高くなるほどこの傾向は強まり、部品・実装技術を持つ企業の関与余地が大きくなる。