Membrane Distillation (MD)
疎水性の多孔質膜を隔てて温度差を与え、高温側で蒸発した水蒸気だけを膜の細孔を通して透過側へ移し、凝縮させて回収する分離法である。Membranes誌の総説によれば、典型的な膜蒸留の工程は、膜の高温側での供給液の蒸発、疎水性膜の細孔を通した蒸気の移動、透過側での蒸気の凝縮という3段階からなる。
同総説は、膜蒸留では水蒸気の分子だけが細孔を透過し、液体の分子は疎水性膜の細孔を通らないとしている。代表的な構成として、直接接触膜蒸留(DCMD)、エアギャップ膜蒸留(AGMD)、スイープガス膜蒸留(SGMD)、真空膜蒸留(VMD)の4方式が挙げられる。DCMDは高温側と低温側の液の流れを疎水性膜で隔てる最も単純な構成で、膜の両側の温度勾配に由来する圧力差が細孔を通る物質移動をもたらす。同総説はDCMDを最もよく研究され効率的な構成と位置づけ、消費エネルギーが低く装置構成が単純で、比較的低い温度で運転できる点を利点として挙げている。
同総説は膜蒸留の用途として、塩を含む水の淡水化、不揮発性物質からの精製、各種溶液の濃縮を挙げている。膜による水の精製プロセスには精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、浸透および逆浸透などがあり、膜蒸留はそのひとつとして位置づけられる。