Microbiome
米国国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)の Genetics Glossary は、マイクロバイオームを「ある特定の環境に存在する微生物(真菌、細菌、ウイルスなど)の集団」と定義している。ヒトを対象とする文脈では、皮膚や消化管のように体の特定の部位に住み着いている微生物の集まりを指して使われることが多い。同用語集は、こうした微生物の集団が固定的なものではなく、運動、食事、服薬、その他の曝露といった環境要因に応じて変化する動的なものであることを強調している。
同用語集に収録された解説(NHGRI の Julie Segre 氏)によれば、かつてヒトに定着する細菌は病原体として捉えられ、抗菌薬によって排除すべき対象と考えられていた。現在では、宿主に必要な働きを提供する共生微生物(コメンサル)の存在が認識されている。腸内に住む細菌は食物の消化を助け、皮膚に住む細菌は脂質を分解して皮膚の天然保湿因子を作り出すと説明されている。
同解説はさらに、皮膚や腸に住む微生物が「定着抵抗性(colonization resistance)」をもたらす点を挙げている。常在する微生物が場所を占めることで、侵入しようとする病原体に定着の機会を与えないという仕組みであり、健康に寄与しない微生物の定着に対する最大の防御になっていると位置づけられている。
マイクロバイオームが環境要因で変化する動的な集団であるという性質は、その構成を測定して健康状態の指標とする検査サービスや、構成そのものへ介入する治療・食品の開発の前提になっている。測定には塩基配列決定(シーケンシング)が用いられ、部位ごと(腸内、皮膚、腟内など)に対象を限定した検査が提供されている。