マルチコアファイバ

Multicore Fiber (MCF)

1本の光ファイバ内に複数のコアを設け、それぞれを独立した光路として使うファイバ。コアやモードを多重の次元として利用する方式を空間分割多重と呼ぶ。NICT は2023年、38コア3モードのファイバと750波の波長多重を組み合わせ、毎秒22.9ペタビットの伝送を実証したと発表した。

詳細

概要

マルチコアファイバは、1本の光ファイバの中に複数のコアを設け、それぞれを独立した光の伝送路として使うファイバである。コアやモードといった空間的な自由度を多重の次元として使う伝送方式は空間分割多重(SDM)と呼ばれる。波長多重だけでは頭打ちになる1心あたりの伝送容量を引き上げる手段として研究が進んでいる。

技術的な要点

NICT は2023年10月5日、38コア3モードの光ファイバを用いて、1本のファイバで毎秒22.9ペタビットの通信が可能であることを実証したと発表した。従来の世界記録である毎秒10.66ペタビットを2倍以上更新した値である。この構成はマルチコア方式とマルチモード方式を組み合わせたもので、100通りを超える光経路を作り出し、光経路の数を28.5倍に拡大したとされる。波長側では S 帯の293波、C 帯と L 帯の457波、合計750波を使い、空間多重とマルチバンド波長多重を組み合わせて容量を積み上げている。成果は英国グラスゴーで開催された ECOC 2023 で発表された。

産業での位置づけ

コア数やモード数を増やすほど、ファイバ製造だけでなく、コアごとの光を分離・結合するファンイン/ファンアウト部品、光増幅器、受信側の信号処理まで含めた系全体の設計が必要になる。既設の管路やケーブル本数を増やさずに容量を拡張できるかどうかが実用化の判断軸であり、光ファイバメーカと光部品メーカにとって長期の技術投資対象になっている。