ニッケル水素電池

Nickel-Hydrogen Battery (Ni-H2)

ニッケル電極と水素電極を圧力容器の中に組み合わせた二次電池。NASAの技術報告によれば、60機を超える静止軌道衛星やハッブル宇宙望遠鏡の電力貯蔵に用いられ、先進設計セルは放電深度60パーセントで3万サイクルを超えても故障が生じなかった。

詳細

概要

NASAの技術報告(NASA Technical Memorandum 106795 / AIAA-95-0026、1995年)によれば、ニッケル水素電池はニッケル電極と水素電極を圧力容器の中に組み合わせた二次電池である。個別圧力容器(IPV)方式では、各セルがそれぞれの圧力容器に収められ、電気的に直列に接続される。

技術的な要点

同報告によれば、当時の標準的なセルは低軌道用途において放電深度60パーセントで4000から10000サイクルの寿命を示していた。NASAルイス研究センターが開発した先進設計では、電解質の水酸化カリウム濃度を31パーセントから26パーセントへ下げ、圧力容器の内壁に酸素と水素を再結合させる触媒付きウォールウィックを設ける構成が採られた。この先進設計セルは、放電深度60パーセントで30180サイクルを経過した時点でセルの故障が生じていないと報告されている。同報告は、放電深度を2倍にできれば電池の有効比エネルギーも2倍となり、電池質量を50パーセント削減できると述べている。

産業での位置づけ

同報告によれば、ニッケル水素電池は60機を超える静止軌道衛星に電力の貯蔵と供給を提供してきた。ハッブル宇宙望遠鏡では放電深度10パーセント未満という非常に保守的な浅い運用が行われている。共通圧力容器(CPV)方式の10Ahバッテリはクレメンタイン探査機で運用され、66機の衛星打上げを計画していたイリジウム衛星計画にも搭載が予定されていた。