Proteolysis Targeting Chimera (PROTAC)
Nature Reviews Drug Discovery のレビュー(Békés、Langley、Crews、2022年)は、標的タンパク質分解を新たな治療モダリティとして位置づけている。PROTACは標的タンパク質と分解機構を連結するキメラ分子であり、ユビキチン・プロテアソーム系を利用して標的タンパク質を分解する。
PROTACはE3ユビキチンリガーゼを標的タンパク質の近くに呼び込み、標的をユビキチン化してプロテアソームによる分解へ導く。同レビューは、この作用が触媒的であること、すなわち化学量論的な占有を必要とする阻害と異なり、分解を繰り返し起こしうる点を挙げている。結果として、従来の低分子阻害薬では扱いにくく「ドラッガブルでない」とみなされてきた標的に対しても、活性を阻害するのではなく分解するという手段で取り組めるとされる。臨床でのproof of conceptは2020年に、確立した2つのがん標的に対して得られたと記載されている。
同レビューは、この分野が学術研究として始まり産業へ広がった経緯を整理している。利用できるE3リガーゼのリガンドの種類、標的とリガーゼをつなぐリンカーの設計、分子量の大きさに由来する物性が開発上の制約となる。