前立腺特異的膜抗原

Prostate-Specific Membrane Antigen (PSMA)

前立腺上皮細胞の膜に存在するII型膜貫通糖タンパク質で、悪性化に伴って発現量が増える腫瘍関連抗原である。結合した分子が細胞内へ取り込まれる性質を持つため、放射性リガンドを標識した薬剤の集積先として利用され、前立腺癌の画像診断と放射性核種治療に共通する標的となっている。

詳細

概要

前立腺上皮細胞の細胞膜に存在するII型膜貫通糖タンパク質であり、腫瘍関連抗原に分類される。悪性化した細胞で発現量が増える一方、前立腺以外の腫瘍、たとえば腎細胞癌、骨髄腫、肺癌などでも発現が報告されており、前立腺に限定した分子ではない。

技術的な要点

発現量はグリーソン分類の進行と相関する傾向が示され、再発リスクの予測に用いられている。細胞表面のPSMAに結合した低分子はその後細胞内へ取り込まれるため、結合した放射性核種が腫瘍細胞内に滞留しやすい。この性質が放射性リガンド療法の標的として適する理由となる。同一の結合部位に診断用核種と治療用核種を使い分けることで、投与前に集積の有無を画像で確認する運用が可能になる。

産業での位置づけ

PSMAを標的とする放射性医薬品は転移性前立腺癌の治療選択肢として確立しつつあり、耐性や忍容性への対応として、より線エネルギー付与の大きいアルファ線核種を用いる開発が進む。

分子イメージングの標的としても普及しており、従来の画像診断より小さな転移巣の検出に用いられている。

前立腺以外の腫瘍でも発現が見られることから、他がん腫への適応拡大が研究対象となっている。一方で唾液腺や腎尿細管など正常組織にも一定の発現があり、これらへの集積が用量制限毒性の主要因となる。