耐放射線エレクトロニクス

Radiation Hardened Electronics (rad-hard)

宇宙放射線に耐えるよう設計・選別された電子部品。NASAは劣化要因を、陽子・電子による累積的な電離損傷である総電離線量(TID)、非電離の変位損傷(DD)、単一粒子の入射による単一事象効果(SEE)に整理している。設計から耐性を作り込むものを耐放射線、緩和策の併用で使う民生品を放射線耐性と区別する。

詳細

米航空宇宙局(NASA)の NEPP(NASA Electronic Parts and Packaging Program)の解説資料は、宇宙機の電子部品が受ける放射線の影響を次のように整理している。

  • 総電離線量(TID): 「陽子と電子による累積的で長期的な電離損傷」。しきい値電圧の変動、リーク電流の増加、タイミングの変化、機能故障として現れ、krad(材料) の単位で測られる
  • 変位損傷(DD): 「累積的で長期的な非電離損傷」で、陽子・電子・中性子により格子欠陥が生じ「素子の劣化をもたらす」。フォトカプラ、太陽電池、CCD、リニアバイポーラ素子で顕著となる
  • 単一事象効果(SEE): 単一の粒子入射による過渡的または破壊的な影響で、「イオンの入射によって回路に生じる測定可能な影響すべて」と定義される。ソフトエラー(シングルイベントアップセット)から、ラッチアップやバーンアウトのようなハードエラーまでを含む

NASA は対策の考え方を2つに分ける。設計段階から放射線影響に強く作り込む「耐放射線(radiation hardened, hardened-by-design)」と、遮蔽・誤り訂正・冗長化といった緩和策を併用することで許容する「放射線耐性(radiation tolerant)」の民生部品である。後者については「民生素子の放射線耐性は個体差が大きい」ため、厳密な試験による選別が必要だとしている。