SiC溶液成長法

Solution Growth of Silicon Carbide (TSSG)

高温のSi系融液に炭素を溶解させ、種結晶の近傍を過飽和にして炭化ケイ素の単結晶を析出させる結晶成長法である。熱力学的な平衡状態に近い条件で成長するため、主流の昇華再結晶法に比べて基底面転位や貫通らせん転位の少ない結晶が得られるとされ、高品質基板の製法として研究されている。

詳細

概要

高温で液体となったSi系の融液に炭素を溶かし込み、上部に保持した種結晶の近傍を低温にして過飽和状態を作り、そこにSiCを析出させる結晶成長法である。種結晶を溶液上面から接触させる構成からトップシード溶液成長法とも呼ばれる。

技術的な要点

純粋なSi融液への炭素の溶解量は1800℃でも1原子%以下と小さく成長が遅いため、Si-TiやSi-Crなど炭素溶解度を高める合金溶媒が用いられる。溶液の縦方向に温度差を設け、種結晶近傍が低温領域となるようにすることで過飽和を作り出す。溶液成長は熱力学的な平衡状態に近い成長法であり、昇華再結晶法と相補的に位置づけられる。技術報告では、種結晶に含まれる基底面転位が成長結晶へ伝播せず、成長中に新たな基底面転位も発生しないこと、デバイスキラー欠陥である貫通らせん転位も低減できることが示されている。

産業での位置づけ

昇華法では制御が難しいドーピングや欠陥低減に対する解として研究が進み、パワーデバイス用基板の高品質化、とくに高耐圧用途の基板供給に関わる。

また溶媒組成を通じて不純物の取り込みを調整できるため、昇華法では難しいとされるp型のドーピング制御に対する選択肢としても検討されている。

他方で、溶媒に用いる合金の選定、坩堝材からの不純物混入、成長速度の確保、溶液内の対流と温度分布の制御が量産化に向けた課題となる。