Sodium-ion battery (Na-ion)
リチウムイオンではなくナトリウムイオンを電荷担体に用いる二次電池。用途としては車載と定置の両方が想定されるが、IEAはコスト面で優位に立てる領域が現時点では寒冷地とハイブリッド電池システムに限られると整理している。
IEAによれば、最新のナトリウムイオンセルのエネルギー密度は最大で約175Wh/kgであり、LFPの205Wh/kg、NMCの255Wh/kgを下回る。SUVに搭載した場合の走行距離は約350kmで、リチウムイオン相当品の400〜600kmに届かない。一方で温度耐性が強みで、最新世代はマイナス40℃という低温でも公称容量の約90%を保持し、70℃までの動作が示されている。正極材料は層状酸化物系と、ポリアニオン系およびプルシアンブルー類似体(PBA)系に大別される。前者の重要鉱物の使用強度はリチウムイオン電池と同程度で、後者は相対的に低いが、ニッケル、マンガン、バナジウムといった重要鉱物を含む場合がある。
2025年時点の世界生産能力はリチウムイオン電池の1%未満にとどまる。公表済みの計画分を含めた2030年の生産能力では、95%以上を中国が占める。IEAは、高度に最適化され低コスト化した既存のリチウムイオン電池、とくに最新のLFPが、エネルギー密度、サプライチェーンの成熟度、コストで優位を保っていると評価している。リチウム価格が現行水準にとどまる限り、コスト面での逆転は起きにくい。