電池健全度

State of health (SOH)

新品時の性能に対する現時点の性能の比で、電池の劣化度合いを表す指標。容量基準のSOH_Qと電力量基準のSOH_Eという二つの定義があり、後者は航続距離という利用者の体感に近い。パック単位の測定手順が標準化されていないため、メーカー間で値を直接比較できない点が課題とされる。

詳細

概要

新品時の性能に対する現時点の性能の比。電気自動車の残存価値、蓄電池の保証条件、車載電池の二次利用の可否判断に直結する。2025年のnpj Clean Energy掲載論文は、パック単位のSOHについて標準化された測定手順が存在しないことを問題として指摘している。

技術的な要点

同論文は二つの指標の併用を提案している。容量基準のSOHは SOH_Q = Q_calc / Q_N で定義され、電極間を移動した電荷量に着目するため電圧の影響を受けにくく、電極容量の変化を一貫した基準で比較できる。電力量基準のSOHは SOH_E = E_calc / E_N で定義され、実際に利用できるエネルギーを反映するため、航続距離という利用者の体感に近い形で劣化を表す。測定手順としては、固定した電圧範囲のあいだを定電力で充電する15時間の手順が提案されており、車載充電インフラを用いて車両単位で再現できるとされる。制度面では、EU規則2023/1542が2027年までのデジタルバッテリーパスポートでSOHを必須項目として挙げながら技術的な測定方法を定めていない。UN GTR No.22はWLTC走行による使用中検証でSOCE・SOCRを求める方式を、ISO 12405-4は供給者の推奨に依存する充電サイクルを示している。

産業での位置づけ

定義と手順が揃わない限り、メーカーをまたいだSOHの比較はできない。電池診断やリユースを事業とする企業を評価する際は、SOHの定義がどの規格に準拠し、契約上どの測定条件で保証されているかが実質的な論点になる。