波動歯車装置

Strain Wave Gearing

楕円状の波動発生器で薄肉の弾性歯車を変形させ、剛性リングとの歯数差によって減速する歯車装置。単段で30:1から160:1程度の減速比が得られ、歯部には寿命全体を通じてバックラッシュがない。位置決め精度は1分角未満とされ、精密な回転関節の駆動部に用いられる。

詳細

概要

楕円状の波動発生器(ウェーブジェネレータ)、外歯を持つ薄肉カップ状の弾性歯車(フレクスプライン)、内歯を持つ剛性リング(サーキュラスプライン)の3部品で構成される減速機である。部品の弾性変形を利用して歯をかみ合わせるため、通常の歯車列とは異なる原理で高い減速比を得る。

技術的な要点

フレクスプラインの外歯はサーキュラスプラインの内歯より歯数が少なく、その差は2枚であることが多い。波動発生器が回転する間に、この歯数差の分だけ両者の相対回転が生じることで減速が成立する。単段で30:1から160:1程度、特殊仕様では400:1までの減速比が得られる。歯は常に予圧された状態でかみ合うため、寿命全体を通じて歯部のバックラッシュがない。位置決め精度は1分角未満、繰り返し精度は数秒角とされ、歯の接触面積が広いことから同等の伝達容量の歯車より小型・軽量にできる。

産業での位置づけ

バックラッシュがなく高い位置決め精度が得られるため、精密な回転関節を必要とする機械の駆動部に使われる。多関節アームは関節ごとに減速機を必要とし、その性能とコストが可搬重量、繰り返し精度、機体価格を直接規定する。ロボット本体を開発する企業にとって減速機を内製するか外部調達するかは主要な設計判断であり、部品調達の状況が事業計画に影響する。