Spin-Transfer Torque Magnetoresistive RAM (STT-MRAM)
磁気トンネル接合(MTJ)の磁化の向きで情報を記憶し、電流によるスピン移行トルクで書き換える不揮発性メモリ。電源を切ってもデータが保持されるため、待機時の電力を抑えられる。SRAMやフラッシュの置き換えを狙う埋め込みメモリとして開発が進む。
東北大学が報告したQuad-interface MTJは、低RA(抵抗面積積)技術、記録層に用いる低ダンピング材料、安定な参照層という3つの要素技術を組み合わせた構造である。18nm世代の素子で、10年を超える保持特性、少なくとも6×10の11乗回の書き換え耐性、10ナノ秒の高速書き込み、消費電力の20%低減が同時に報告されている。保持特性と書き込み電流はトレードオフの関係にあり、素子を微細化するほど両立が難しくなる。
同報告は、18nmのQuad-MTJがSRAMより小さい面積で大容量のSTT-MRAMを構成でき、Xnm世代でSRAMを置き換えることが期待されるとしている。想定用途として挙げられているのは、モバイル通信、車載、民生機器、産業・インフラ機器におけるIoTエッジデバイスであり、超低消費電力が要件になる領域である。ロジックプロセスの後工程で作り込める埋め込み不揮発メモリとして成立するかどうかが、採用規模を左右する。