Sublimation Recrystallization (Physical Vapor Transport) (PVT)
炭化ケイ素は常圧では融解せずに昇華するため、融液から引き上げる一般的な結晶成長が使えない。そこで固体原料を昇華させ、気相を経て種結晶上に再び結晶化させる方法が用いられる。物理気相輸送法とも、改良レーリー法とも呼ばれる。
業界団体の解説では、SiCの固体原料(通常は粉末)を2000℃以上で加熱・昇華させ、不活性ガス雰囲気中を輸送し、低温部に設置した種結晶上に再結晶化させることで塊状の単結晶を育成すると説明されている。原料側と種結晶側の温度差が輸送の駆動力となるため、坩堝内の温度分布、圧力、原料の純度が成長速度と結晶品質を同時に支配する。高温かつ密閉された環境で進むため成長中の直接観察が難しく、多形の混入、マイクロパイプ、貫通らせん転位、基底面転位といった欠陥の抑制が主要な課題となる。ドーピングは雰囲気ガスや原料への添加で行うが、p型では制御が難しいとされる。
量産されているSiCウェハの多くはこの方法で製造されており、口径拡大と欠陥低減が、パワーデバイスの歩留まりとコストを直接左右する。
成長速度は原料の昇華量と輸送効率に律速され、口径を拡大するほど温度分布の均一化と応力の制御が難しくなる。
育成した結晶塊(インゴット)はスライスと研磨を経てウェハとなるが、SiCは硬度が高いため加工工程の負荷も大きい。