Thermal Error Compensation
工作機械は主軸の回転、送り軸の移動、周囲温度の変化によって構造体が膨張・収縮し、工具と被削物の相対位置がずれる。この誤差を測定して指令値に反映させるのが熱変位補正である。ISO 230-3:2020「工作機械の試験方法 — 第3部:熱影響の求め方」は、環境温度変化による誤差、主軸回転に起因する熱変形、直進軸の移動に起因する熱影響、回転部品の運動に起因する熱変形という4種類の試験手順を規定する。直進軸に関する試験方法は、軸長 2000 mm までのNC工作機械を対象とする。
同規格は構造体の熱膨張・収縮および角度変形を定量化する方法を定めるほか、熱補正システムの不確かさを測る手順を含む。熱膨張係数のばらつきや温度計測の誤差が補正後の機械性能にどう影響するかを扱う点が特徴で、補正機構そのものの信頼性を評価対象にしている。実装には機体各部の温度センサ、変位の実測、機械構造の熱挙動モデルが必要になる。
工作機械の加工精度を左右する要因の一つであり、恒温環境に頼らずに精度を確保するための手段として使われる。センサ、モデル、制御を組み合わせる領域であり、規格が補正システムの不確かさ評価まで含んでいることは、補正性能を仕様として比較できる段階に入ったことを示している。