Thermophotovoltaics (TPV)
熱光起電力発電(TPV)は、高温のエミッタから放射される主に赤外波長の光を、光起電力効果で電気に変換する。太陽電池が太陽光を受けるのに対し、TPVセルは人工的に加熱された固体表面からの放射を受ける点が異なる。タービンのような可動部や作動流体を必要とせず、熱源の温度が高いほど放射スペクトルが短波長側へ寄り変換効率が上がる。研究では1,900〜2,400℃級のエミッタ温度が対象とされている。
報告されている高効率セルはIII-V族半導体による2接合タンデム構造で、バンドギャップの組み合わせは1.4/1.2 eVおよび1.2/1.0 eVである。1.4/1.2 eVの素子は2,400℃で(41.1±1)%、1.2/1.0 eVの素子は2,127℃で(39.3±1)%の効率が報告された。効率の鍵はバンドギャップ以下のエネルギーを持つ光子をセルで吸収させずに反射してエミッタへ戻す再利用(フォトンリサイクリング)にあり、高反射の裏面ミラーとキャリア再結合の抑制が設計上の中心課題となる。
TPVは熱エネルギーの系統規模貯蔵(thermal energy grid storage, TEGS)の放電側として位置づけられる。安価な蓄熱媒体に電力を熱として貯め、必要時にTPVで電力へ戻すことで、変動性再生可能エネルギーを調整可能な電源に変える構想である。可動部がなくモジュール化しやすいため、産業用の熱と電力を同時に供給する熱電池型の設備で採用が検討されている。