Toll様受容体

Toll-like receptor (TLR)

病原体に由来する分子パターンを認識する自然免疫のパターン認識受容体である。このうちTLR3・TLR7・TLR8・TLR9はエンドソーム内に局在し、核酸を認識してI型インターフェロンや炎症性サイトカインの産生を誘導する。自己核酸による不適切な活性化は自己免疫疾患の病態に関与するとされる。

詳細

概要

Toll様受容体は、微生物に共通する分子構造を検出するパターン認識受容体の一群である。細胞膜上に局在して脂質やタンパク質を認識するものと、細胞内小胞であるエンドソームに局在して核酸を認識するものに大別される。出典によれば、エンドソーム型はTLR3、TLR7、TLR8、TLR9であり、エンドソーム区画で核酸を認識する。

技術的な要点

リガンドの選択性は受容体ごとに異なる。出典の記述では、TLR3は40〜50塩基対より長い二本鎖RNAに応答し、TLR9はCpG配列を含む一本鎖DNAを感知する。TLR7とTLR8は無傷のRNAではなく分解産物を認識し、TLR7はグアノシンとオリゴリボヌクレオチドに、TLR8はウリジンとオリゴリボヌクレオチドに応答する。これらの受容体は小胞体で合成された後、シャペロンであるUNC93B1によってエンドソーム区画へ運ばれる。UNC93B1は輸送を担うと同時に、不要な活性化を抑える負の制御因子としても働く。エンドソーム内の輸送過程は炎症応答と抗ウイルス応答の切り替えを左右し、形質細胞様樹状細胞におけるTLR7・TLR9由来のI型インターフェロン産生はmTORC1の活性化に依存するとされる。

産業での位置づけ

自己由来の核酸によってエンドソーム型TLRが不適切に活性化されると、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の病態に関与する。このため、TLR7やTLR8を選択的に阻害する低分子は、免疫全体を広く抑えるのではなく特定の経路を標的とする創薬アプローチとして開発が進む領域である。逆にアゴニストはワクチンのアジュバントや免疫賦活剤として検討される。