URAT1阻害薬

URAT1 (urate transporter 1) inhibitor (URAT1)

腎近位尿細管の管腔側膜にある尿酸トランスポーターURAT1(遺伝子名SLC22A12)を阻害し、糸球体で濾過された尿酸の再吸収を抑えて尿中への排泄を促す薬剤群である。血清尿酸値を下げる尿酸排泄促進薬の主要な作用機序にあたり、尿酸産生を抑えるキサンチンオキシダーゼ阻害薬とは異なる経路で働く。

詳細

概要

URAT1は遺伝子SLC22A12にコードされる膜輸送体で、major facilitator superfamilyに属する。腎近位尿細管細胞の管腔側(apical)膜に主に発現し、細胞内の陰イオンと細胞外の尿酸を交換輸送する。糸球体で濾過された尿酸の大部分は近位尿細管で血中へ再吸収されるため、URAT1はヒトの血清尿酸値を決める中心的な因子である。URAT1阻害薬はこの再吸収経路を遮断し、尿酸の尿中排泄を増やすことで血清尿酸値を下げる。

技術的な要点

構造薬理学的な研究では、URAT1阻害薬は尿酸結合部位を競合的に占有すると同時に、輸送体を内向き(inward-facing)構造に固定することが示されている。輸送サイクルに必要な構造変化そのものを止める点が、単純な競合阻害と異なる。ベンズブロマロンやベリヌラドなどが解析対象とされてきた。分子側の課題は、尿酸排泄促進に伴う尿路結石リスク、肝毒性、他の尿酸トランスポーター(OAT1/OAT3など)への選択性であり、URAT1に対する選択性と代謝プロファイルが薬剤ごとの差別化要因になる。

産業での位置づけ

痛風・高尿酸血症の薬物療法は、尿酸産生を抑えるキサンチンオキシダーゼ阻害薬が一次治療、尿酸を酵素分解する尿酸オキシダーゼ製剤が難治例向けという構図であり、URAT1阻害薬は排泄促進という第三の機序を担う。既存治療で目標尿酸値に到達しない患者層が残るため、安全性を高めた次世代URAT1阻害薬の後期臨床開発がバイオ医薬領域の投資対象となっている。