Zero-Moment Point (ZMP)
二足歩行機構の足裏が床と接する面上で、水平方向のモーメント成分がともにゼロになる点を指す。Vukobratovićらが提唱した概念で、2004年の総説論文で定義と誤用の整理が行われた。この点では機構に作用するすべての力の影響を単一の力で置き換えられる。
動的バランスが保たれている状態では、床反力がZMPの位置に作用する。ZMPが支持多角形(足裏の接地領域)の内部に存在することが動的平衡の条件であり、これが満たされる限り足先のエッジ回りの意図しない回転は生じない。計算上の点が支持多角形の外に出る場合は仮想ZMP(FZMP)と呼ばれ、実在しない。圧力中心(CoP)との区別が重要で、CoPは常に存在するのに対し、歩容が動的にバランスしていないときZMPは存在しない。両者はバランスしている場合にのみ一致する。
従来のヒューマノイドの歩行パターン生成と安定化制御は、ZMPを支持多角形内に保つことを目標として設計されてきた。近年は学習ベースの制御や全身の接触を積極的に使う手法が並行して開発されているが、力学的な安定性を評価する共通の指標としてZMPは引き続き参照される。ヒューマノイド企業の技術説明を読む際、どの安定性基準を採用しているかは制御方式を判別する手がかりになる。