環状アデノシン一リン酸

Cyclic Adenosine Monophosphate (cAMP)

細胞内で情報を伝えるセカンドメッセンジャーとして働く低分子である。Gタンパク質共役受容体の刺激を受けたアデニル酸シクラーゼがATPから生成し、ホスホジエステラーゼが分解する。主にプロテインキナーゼAを活性化して細胞応答を引き起こし、免疫細胞の機能調節にも関わる。

詳細

概要

環状アデノシン一リン酸(cAMP)は、細胞内で情報を伝える親水性の低分子であり、代表的なセカンドメッセンジャーである。ホルモンや神経伝達物質がGタンパク質共役受容体(GPCR)に結合すると、アデニル酸シクラーゼが活性化され、ATPの環化によってcAMPが生成される。

技術的な要点

生成されたcAMPは主にプロテインキナーゼA(PKA)を活性化し、PKAが基質タンパク質のセリン残基やトレオニン残基をリン酸化することで細胞応答が進む。シグナルの終結はホスホジエステラーゼ(PDE)が担い、cAMPの3′,5′-ホスホジエステル結合を切断して5′-AMPへ変換する。したがってPDEの働きを抑えると細胞内のcAMP濃度は上がる方向に動く。

産業での位置づけ

cAMPは免疫細胞の機能調節にも関わり、濃度の上昇は炎症、貪食、細胞内病原体の排除といった白血球の働きを抑える方向に作用することが報告されている。この経路を利用し、特定のPDEアイソザイムを選択的に阻害する低分子が、炎症性疾患を対象とする創薬の標的として扱われている。PDEには複数のファミリーとサブタイプが存在するため、標的とするサブタイプの選択性を高める設計が課題となる。