De novo protein design
デノボタンパク質設計は、既存の天然タンパク質を改変するのではなく、望む立体構造と機能を先に定め、それを実現する配列を計算で新規に作り出す手法である。タンパク質工学では長らくランダム変異と選択に依存してきたが、意図的な計算設計への転換が進んでいる。設計は一般に、目的機能を満たす主鎖構造(バックボーン)の生成と、その構造に折りたたまれる配列の決定、そして予測モデルによる検証という段階を踏む。
近年の進展を支えるのは三つの深層学習ツールである。RFdiffusionは拡散モデルにより多様な主鎖構造と機能部位を生成する。ProteinMPNNは与えられた主鎖に対して頑健に配列を設計する。AlphaFoldは実験に近い分解能で立体構造を予測し、設計候補のスクリーニングに使われる。これらを組み合わせることで、標的タンパク質に高親和性で結合するミニタンパク質バインダーの設計、新規触媒活性を持つ酵素、低分子リガンド結合体、複数状態を取るナノマシンなどが報告されている。
応用先は医薬品の結合分子設計にとどまらない。タンパク質は環境中で分解されやすく、低分子化合物と異なる規制上の扱いを受けうるため、農業の作物保護剤として、既存の作用機構分類に属さない新規機序を狙う設計対象にもなっている。計算設計は候補探索コストを下げるが、実際の活性・安定性・製造性は湿式実験での検証を要し、設計と実験のサイクルをいかに速く回すかが競争条件になる。