Dipeptidyl peptidase 1 inhibitor (DPP1)
DPP1(dipeptidyl peptidase 1、別名カテプシンC)は、パパインファミリーに属するリソソーム性のシステインエキソペプチダーゼである。好中球が骨髄で成熟する段階において、不活性な前駆体(チモーゲン)として合成された好中球セリンプロテアーゼのプロペプチドを切断し、活性型へと変換する役割を担う。DPP1阻害薬はこの活性化段階を標的とし、成熟後の好中球が保持するプロテアーゼ活性そのものを低下させる薬剤群である。
出典の総説によれば、DPP1は四量体として機能し、触媒残基はシステイン残基とヒスチジン残基が形成するチオラート・イミダゾリウムイオン対である。阻害薬はこの活性中心を標的とし、可逆的に結合する型と共有結合を形成する型がある。作用点が炎症カスケードの上流にあるため、個々のプロテアーゼを別々に阻害する手法に比べ、複数のプロテアーゼをまとめて抑制できる点が特徴となる。一方で、これらのプロテアーゼは本来の感染防御にも関与するため、抑制の程度と安全性の兼ね合いが開発上の論点となる。
気管支拡張症を対象とした開発が先行し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など好中球性炎症が病態に関与する呼吸器疾患へと対象を広げる開発が続いている。経口投与可能な低分子として設計される例が多く、抗体医薬などの生物学的製剤と比べて製造と投与の負担が小さい点が実用上の利点として挙げられる。