エピゲノム編集

Epigenome Editing

DNAの塩基配列を書き換えずに、エピジェネティックな標識を書き換えて遺伝子発現を変える技術である。Nature Reviews Drug Discovery誌の2025年の総説は、これをゲノムを編集することなくエピジェネティックな特徴を書き換えて遺伝子発現を再プログラムする手法と説明する。標的配列を認識する部品として触媒活性を失わせたCas9(dCas9)やジンクフィンガータンパク質が使われ、そこにDNAメチル基転移酵素やTET酵素などのエフェクタードメインを連結して、標識を書き込むか消去する。

詳細

定義

エピゲノム編集は、Nature Reviews Drug Discovery誌が2025年に掲載した総説「Epigenetic editing: from concept to clinic」によれば、ゲノムそのものを編集することなくエピジェネティックな特徴を書き換えることで遺伝子発現を再プログラムする手法である。同総説はこれを、下地のDNA配列を変えずに遺伝子発現を精密に改変するヒット・アンド・ラン型の手法と位置づけている。

標的認識の部品

同総説は、プログラム可能な標的認識の基盤として二系統を挙げる。ひとつは触媒活性を失わせたCas9(ヌクレアーゼ不活性型Cas9、dCas9)に各種エフェクタードメインを連結するCRISPR/dCas9系であり、もうひとつは部位選択的な標的化を担うジンクフィンガータンパク質である。

エフェクタードメイン

連結されるエフェクタードメインの働きは次のように分かれる。

  • 書き込み: DNAメチル基転移酵素などがメチル化標識を付加する
  • 消去: TET酵素などがメチル化標識を取り除く
  • 動員: クロマチン修飾機構を呼び込みヒストン修飾を変える

ゲノム編集との違い

同総説によれば、この手法は下地のDNA配列を変えないまま、持続的(durable)な遺伝子の活性化または抑制をもたらす。配列そのものを切断・改変するゲノム編集とは、この点で区別される領域である。