Flow Chemistry
フロー合成は、反応器に原料を連続的に供給しながら反応させ、生成物を連続的に取り出す合成方式である。産総研のフロー精密合成コンソーシアムの解説によれば、現在の化学品製造の99%以上は、原料を反応釜に一括投入し反応終了を待ってから取り出すバッチ法によっている。フロー方式は、カラムの一端から原料を流し、他端から生成物を取り出す。
中間体をいちいち単離・精製する工程を減らせるため、バッチ法と比べてエネルギー生産性が高く、廃棄物の発生量も少ない。反応空間が小さいことから、危険な物質を扱う場合でも事故が起きたときの規模を抑えられ、爆発や火災のリスクが下がる。不安定な化合物も、生成した直後に次の反応に送ることで扱える。生産量は原料の供給速度で調整でき、カラムを大型化するか複数並べることで、大幅な設計変更なしにスケールを変えられる。
東京大学の小林修らは、不斉カルシウム触媒を含む不均一系触媒を用い、8段階の連続した反応で抗うつ薬ロリプラムを合成する実証を行った。想定される応用分野は医薬品、農薬、香料、機能性材料であり、いずれも日本のメーカーが強みをもってきた領域である。設備投資の単位が小さくて済むため、専用の受託製造や装置供給を手がける事業が成り立ちやすい。