Free-space optical communication (FSO)
空間光通信(FSO)は、伝送路として光ファイバではなく大気や真空を用い、レーザ光を見通し線上で送受信する方式である。搬送波周波数を電波帯(kHz〜GHz)から光帯(THz級)へ引き上げることで、伝送容量を桁違いに増やせる点が本質的な利点である。地上局と宇宙機の間、衛星同士、あるいは航空機との間で用いられる。
利点の裏返しとして二つの制約がある。第一に、光信号は電波より格段に厳しい指向要求を課す。ビームが細いほど受信電力は上がるが、わずかな角度誤差が大きな損失につながる。第二に、大気擾乱がミリ秒オーダーの時間スケールで光ビームの伝搬に影響し、ビームの揺らぎとフェージングを生む。変調・検波方式としては、強度変調に比べて位相情報を保持するコヒーレント検波が利用可能な自由度を使い切れるうえ、既存の光ファイバ技術と親和性が高い。ただし受信光をコア径8〜10マイクロメートル級のシングルモードファイバに結合する必要があり、指向誤差への感度がさらに高まる。報告例では、補償光学と機械視覚を組み合わせ、低軌道衛星に相当する最大1.5度/秒の角速度で追尾しながら100 Gbpsの光リンクを途切れなく維持している。
衛星コンステレーションの増加と軌道上でのデータ生成量の拡大により、電波帯の周波数割当と帯域が制約になりつつある。空間光通信は衛星間リンクや衛星-地上リンクのボトルネック解消手段として実装が進み、端末の小型軽量化と量産性が普及の鍵となっている。