ガス拡散電極

Gas diffusion electrode (GDE)

気体・電解液・触媒が接する三相界面を電極内部に多数形成する多孔質電極である。燃料電池や金属空気電池、水電解・CO2電解において、気体反応物を触媒近傍へ直接供給しつつ電解液の浸水を防ぐ役割を担い、触媒の活性を実デバイスの電流密度へ翻訳する部材にあたる。

詳細

概要

ガス拡散電極(GDE)は、燃料電池や金属空気電池で用いられる多孔質電極である。気体を通す流路を電極内に持ち、電解液は電極表面に薄い液膜を形成する。電極反応は触媒、電解液、気体の三者が出会う三相界面(three-phase boundary, TPB)で進むため、この界面の長さと分布が電極性能を決定づける。液相に溶けた酸素の拡散だけに頼る平板電極に比べ、気体を直接触媒近傍へ届けられることで電流密度を大きく取れる。

技術的な要点

典型的なGDEは二層構造をとる。電解液側に位置する反応層が電気化学反応の主たる場となり、その外側の気体層は疎水性を保って気体の通過を許しつつ液の浸入(フラッディング)を防ぐ。材料には活性炭、黒鉛、アセチレンブラック、そして疎水性を与えるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)エマルションが用いられ、必要な空隙率と撥水性を作り込む。設計上の要点は、親水部と疎水部のバランス、細孔径分布、触媒層の厚みであり、これらが崩れると三相界面が失われて性能が急落する。

産業での位置づけ

GDEは触媒の性能を実デバイスの電流密度へ翻訳する部材であり、触媒単体の活性が高くても電極構造が伴わなければ性能は出ない。近年は燃料電池や空気電池に加え、水電解やCO2電解といった電気化学的変換プロセスでも同じ構造が用いられ、気体を扱う電気化学デバイス共通の基盤部材となっている。