Gravimetric energy density
単位質量あたりに取り出せる電気エネルギーで、単位はWh/kg。比エネルギーとも呼ぶ。単位体積あたりのWh/Lで表す体積エネルギー密度と対になる指標で、車載用途では両方が設計制約になる。
同じ電池でも、活物質単体、セル、モジュール、パックのどの階層で測るかによって値は大きく変わる。セルの値からパックの値になると、筐体、冷却系、配線、制御基板の質量が加算されて低下する。したがって数値を比較するときは、まずどの階層の値かを確認する必要がある。米国エネルギー省が2016年に設立したBattery500コンソーシアムは、セルレベルで500Wh/kgを達成し、かつ充放電1,000サイクル、コストは100ドル/kWhを大きく下回る水準を目標としている。そのために追求されている構成は二系統で、リチウム金属負極と高電圧・高容量の金属酸化物正極の組み合わせ、およびリチウム金属負極と硫黄正極の組み合わせである。いずれもリチウム金属負極を前提としている点が、既存の黒鉛負極系との分岐点になる。
Wh/kgはスタートアップが最も引用しやすい指標である一方、単独では意味を持たない。サイクル数、充放電レート、面積容量、電解液量といった条件が併記されて初めて比較できる。デューデリジェンスでは、測定がセル単体かパックか、第三者機関での測定があるか、何サイクル後の値かを分けて確認する。