Hair Follicle Stem Cell (HFSC)
毛包は保護、体温調節、感覚といった基本的な機能を担う皮膚の付属器であり、毛包幹細胞に統御されて生涯にわたり周期的な再生を繰り返す。Cell Communication and Signaling 掲載の総説は、この小さな器官が加齢に伴って段階的に機能を失っていく過程を整理している。
毛周期を通じて比較的安定して存在する解剖学的構造であるバルジが、毛包幹細胞のニッチの物理的な中心となる。バルジの下には毛芽があり、そこに毛乳頭と呼ばれる間葉系細胞の密な集団が位置する。加齢の過程では毛包幹細胞の枯渇が起こり、毛の密度が明確に低下する。色素形成の機能不全によって白髪が生じる点も臨床的な特徴として挙げられている。
幹細胞とそのニッチを標的に毛包の再生を促す方針は、脱毛症に対する再生医療的な治療開発の軸になっている。休止状態にある幹細胞を再び活性化させる低分子や、ニッチの環境に働きかける手法が探索されている。毛包は保護、体温調節、感覚という複数の機能を担う器官であり、毛量の回復だけでなくこれらの機能を保つ観点からも幹細胞の維持が問われる。