高温ガス炉

High-Temperature Gas-cooled Reactor (HTGR)

冷却材にヘリウム、減速材に黒鉛を用い、被覆粒子燃料を装荷する原子炉である。軽水炉より高い温度の熱を取り出せる点が特徴で、日本の試験炉HTTRは炉出口冷却材温度950℃で設計されている。発電に加え、水素製造など高温の熱利用が想定される。冷却材の停止試験では自然に停止したと報告されている。

詳細

概要

高温ガス炉は、冷却材にヘリウムガス、減速材に黒鉛を用い、セラミック被覆を施した燃料を装荷する原子炉である。日本原子力研究開発機構の解説によれば、同機構の試験炉HTTRは二酸化ウラン燃料を用い、炉出口の冷却材温度は950℃と設計されている。軽水炉が取り出せる熱より高温であるため、電力以外の熱利用に適する。

技術的な要点

黒鉛は高温でも構造を保ち、ヘリウムは化学的に不活性で相変化を伴わないため、高温運転と両立しやすい。HTTRで実施された安全性実証試験では、冷却材循環機をすべて停止し制御棒を挿入しない条件でも、炉心の冷却流量の低下とともに原子炉は自然に停止し、燃料の損傷や過酷事故への進展は生じなかったと報告されている。出力密度が低く、黒鉛の熱容量が大きいことが、こうした受動的な挙動を支える。

産業での位置づけ

950℃級の熱は、発電だけでなく熱化学法による水素製造や産業用プロセス熱としての利用が検討されている。同機構は、ヨウ素と硫黄の化合物を用いた熱化学サイクルによる水素製造を高温ガス炉の熱利用先として研究しており、2019年1月に毎時30リットルの水素製造を150時間連続で達成したとしている。工場量産を前提とする小型モジュール炉の設計でも、被覆粒子燃料と黒鉛減速の組み合わせを採る例がある。