ハイドロゲル

Hydrogel

IUPACが「膨潤剤が水であるゲル」と定義する材料。高分子などが作る三次元の網目構造が多量の水を保持し、水を含んだまま流動せず固体的な弾性を示す。網目がコロイド的な場合はアクアゲルとも呼ばれる。架橋の様式によって性質が変わり、医療材料から食品、農業資材まで用途が広い。

詳細

概要

ゲルは、液体を含んだまま流動性を失った三次元網目構造の材料を指す。IUPACのGold Bookでは、ハイドロゲルを「膨潤剤(swelling agent)が水であるゲル」と定義している。網目を構成するのは多くの場合高分子だが、網目がコロイド粒子で構成される場合はアクアゲル(aquagel)と呼び分ける。含水率が高くても形状を保ち、外力に対して弾性的に応答する点が液体との違いである。

技術的な要点

網目の連結様式によって性質が大きく変わる。共有結合による架橋は不可逆で、化学ゲルと呼ばれる。水素結合、疎水性相互作用、イオン架橋、高分子鎖の絡み合いなどによる架橋は可逆で、物理ゲルと呼ばれる。物理ゲルはせん断を与えると流動し、静置すると再びゲル化する挙動を示すものがあり、注射器やカニューレを通して患部へ塗布する用途に適する。設計上の主なパラメータは、架橋密度、網目の孔径、膨潤度、弾性率、分解速度である。架橋密度を上げると弾性率は高くなるが膨潤度と物質透過性は下がるため、目的に応じた折り合いをつける。生体由来の高分子(コラーゲン、ヒアルロン酸、アルギン酸など)を用いたものと、合成高分子を用いたものがある。

産業での位置づけ

医療分野では創傷被覆材、薬物徐放担体、細胞培養の足場、外科用の保護材などに使われる。シート状の材料と異なり複雑な形状の部位に追従できるため、流動性を持たせたハイドロゲルが術中に塗布する材料として用いられる。医療以外でも、コンタクトレンズ、衛生材料、土壌保水材などに広く用いられている。