Integrated Pest Management (IPM)
総合的病害虫管理(IPM)は、病害虫の生活環に関する知識と利用可能な防除手段を組み合わせ、被害を経済的に許容できる水準に抑えながら、人や環境への影響を小さくする管理の考え方である。米国環境保護庁(EPA)は、常識的な実践の組み合わせに依拠する、効果的で環境に配慮した手法と説明している。
EPAはIPMを四段階で整理する。第一に要防除水準(アクションスレッショルド)の設定であり、個体を見つけるたびに対処するのではなく、介入が必要となる水準をあらかじめ決める。第二にモニタリングと同定であり、無害あるいは有益な生物も多いため、対象を正確に特定してから行動する。第三に予防であり、輪作や抵抗性品種の利用といった耕種的手法を第一の防御線とする。第四に防除であり、フェロモンやトラップなど的を絞った手段を先に用い、広範な薬剤散布は最後の手段とする。EPAは、有機農業が天然由来の資材に限定されるのに対し、IPMは必要と判断される場合に合成農薬の使用を認める点で異なると述べている。
自動化された発生予察やセンサによるモニタリングは、この枠組みのうち第二段階と第一段階を定量的に支える。薬剤抵抗性の発達を遅らせる観点からも、散布回数と対象を絞る運用が重視される。EPAは、IPMで生産された作物には有機認証のような全国的な表示制度が一般に存在しないと指摘している。