線形光学量子計算

Linear Optical Quantum Computing (LOQC)

単一光子、ビームスプリッタなどの線形光学素子、および射影測定のみを用いて量子計算を実現する方式である。2001年のKLMプロトコルにより、光子間の直接的な非線形相互作用を用いずとも、測定に基づく実効的な非線形性によってスケーラブルな量子計算が可能であることが示された。

詳細

概要

線形光学量子計算は、単一光子、ビームスプリッタや位相シフタといった線形光学素子、および射影測定という三つの要素のみを用いて量子計算を行う方式である。2001年に提示されたKnill・Laflamme・Milburn(KLM)のプロトコルにより、これら比較的単純な物理系だけでスケーラブルな量子計算が実現可能であることが示され、以後の研究の出発点となった。

技術的な要点

線形光学素子だけでは2光子間の決定論的なゲートを構成できないが、補助光子と測定結果に応じた後処理を組み合わせることで、確率的に動作するゲートを構成できる。成功確率を高めるには、補助資源の投入とテレポーテーションに基づく手法が用いられる。実装上の主要な誤差要因は、単一光子源の不完全性、光子の損失、検出器の効率、光子間の識別可能性であり、理論上のスケーラビリティと実装との差を埋めるために、これらの誤差の同定と訂正手法が検討されてきた。損失に耐性を持たせるため、誤り訂正符号や測定型計算の枠組みと組み合わせる設計が取られる。

産業での位置づけ

動作に極低温を必ずしも必要とせず、光通信向けの部品や集積光回路の製造基盤を利用できる点が実装上の利点とされる。一方、多数の光子のタイミングを揃える必要があるため、単一光子源、低損失の光スイッチ、光子を一時保持する量子メモリといった周辺技術の性能が、構成できる回路の規模を制約する。