機械的血栓回収療法

Mechanical Thrombectomy

カテーテルを脳血管まで進め、閉塞の原因となった血栓を器具で物理的に取り除く血管内治療である。主幹動脈閉塞による急性虚血性脳卒中に対する標準治療として位置づけられ、ステント型回収器で絡め取る手技と、吸引カテーテルで陰圧をかけて除去する手技の二系統がある。治療成績は再灌流の程度で評価される。

詳細

概要

機械的血栓回収療法は、大腿動脈などから挿入したカテーテルを脳の閉塞血管まで誘導し、血栓を機械的に除去して血流を再開させる血管内治療である。主幹動脈閉塞(large vessel occlusion)を伴う急性虚血性脳卒中では、血栓溶解薬の投与だけでは再開通が得られない例が多く、器具による直接的な血栓除去が標準的な選択肢となっている。

技術的な要点

手技は大きく二系統に分かれる。ステント型回収器(ステントリトリーバ)を用いる方法では、マイクロカテーテルで血栓を越えてステントを展開し、数分間かけて血栓を絡め取ったうえでゆっくり引き戻す。もう一方の直接吸引法(contact aspiration、ADAPT)では、太径の吸引カテーテル先端を血栓の近位端に密着させ、持続的な陰圧をかけて血栓を吸引除去する。両者を併用する手技も広く用いられる。治療成績は再灌流の程度で評価され、TICI 2b以上の到達率や、単一パスで完全再灌流を達成する初回通過効果(first pass effect)が指標として用いられる。デバイス側の設計課題は、血栓の把持力、遠位塞栓の防止、および蛇行した頭蓋内血管への到達性の両立にある。

産業での位置づけ

カテーテル、吸引ポンプ、ガイドシースを組み合わせたシステム製品として供給され、医療機器としての承認・審査対象となる。新規の吸引方式や回収機構は臨床試験でのエビデンス取得が前提となるため、機器開発は規制当局の治験制度と一体で進む領域である。