Metal-air battery
金属空気電池は、金属の負極と大気から酸素を取り込む空気極(正極)を適切な電解質で結合した構成をとり、電池と燃料電池の中間的な性質を持つ。正極活物質である酸素をセル内に貯蔵する必要がないため、理論エネルギー密度が高い。亜鉛空気電池は最も成熟した形式で、19世紀末に遡る歴史を持ち、1930年代には商用製品が現れた。放電時には亜鉛が酸化し、空気極では酸素還元反応が進んで水酸化物イオンを生じる。
亜鉛空気電池の理論エネルギー密度は酸素を含めて1,086 Wh/kgとされ、リチウムイオン電池のおよそ5倍にあたる。ただし実際の作動電圧は1.0〜1.2 V程度、達成される実効エネルギー密度は350〜500 Wh/kg級にとどまり、その差の主因は酸素還元反応の過電圧である。二次電池化する場合は充電時の酸素発生反応も必要となり、両反応に活性を示す二機能触媒が求められる。ほかに、亜鉛負極のデンドライト成長と形状変化、電解液の炭酸化、空気極の浸水と乾燥といった課題がある。
希少金属への依存が小さく安全性が高いことから、長時間エネルギー貯蔵や防災・バックアップ電源など、出力より容量とコストが効く用途で関心が持たれている。性能の鍵は空気極にあり、非白金の酸素還元触媒とガス拡散電極の設計が実用化の律速要因となる。