分子接着剤型分解誘導薬

Molecular Glue Degrader

E3ユビキチンリガーゼに結合してその基質認識を変え、本来は認識されないタンパク質を分解させる低分子。標的とE3の双方に結合する二機能性のPROTACと異なり、分子量が小さく、リガーゼ自身の構造変化を介して三者複合体を成立させる点で作用の仕方が異なる。

詳細

Nature Reviews Molecular Cell Biology の総説「Targeted protein degradation: from mechanisms to clinic」(2024年、DOI: 10.1038/s41580-024-00729-9)は、標的タンパク質分解の治療応用として「二機能性のPROTACと分子接着剤型分解誘導薬という2つの異なるクラスが広く探索されており、それぞれに固有の利点と課題がある」と述べている。

分子接着剤の古典的な例として、同総説は植物ホルモンのオーキシンを挙げる。オーキシンは「E3リガーゼ TIR1 に結合し、IAA7 との三者複合体を形成する分子接着剤型の分解誘導薬」として働く。

PROTAC は明示的に「二機能性(bifunctional)」と記述される。すなわちリンカーで連結された2つの結合部位を持ち、E3リガーゼと標的タンパク質を同時にリクルートする。これに対し分子接着剤はより小さな分子で、E3リガーゼに直接結合してその基質特異性を変化させ、リガーゼ自身の構造変化を通じて、本来は認識されないタンパク質を分解対象にする。

分子量が小さく経口投与に向きやすい一方、狙った標的に対する分子接着剤を合理的に設計することは難しく、探索手法の開発が課題となっている。